偽装請負とは何だ??

10月4日、新聞各紙に偽装請負の記事が掲載された。人材派遣会社「コラポレート」に対し、大阪労働局が業務停止命令と事業改善命令を出したというもの。実態は派遣労働でありながら請負契約を装い「偽装請負」を繰り返した、ということなのだが、この「偽装請負」、その内容と実態を把握している人はどの程度いるのだろう。「偽装請負」とは何だ? どこがどう違うのか、そのことが労働者にどのように影響しているのか、理解している方は少ないのではないだろうか?! そこで今回、今や社会問題となってきたこの偽装請負を少しばかり取り上げてみることにした。
・・労働者派遣と業務請負・・
左の図は労働者派遣の仕組みを表したものだが、まず、派遣元と派遣先との間で労働者派遣契約が交わされる。労働者は人材派遣会社から派遣先(派遣を受け入れる企業)へ送り込まれる。労働者は派遣先の職場で仕事をするわけだが、仕事上の支持は全て派遣先から出され、派遣元からは仕事上の支持は一切、出されない。しかし、雇用関係は派遣会社との間にだけ存在し、派遣先との間には存在せず労働者の労働条件等は全て労働者と派遣元との間で決定されることとなる。
それでは請負はどうなるのか。まず、派遣元と派遣先企業間で業務請負契約を交わすわけだが、この場合、派遣元(派遣会社、請負業者)は業務全体、又は、業務の一部門を自らの責任において引き受け、完成させなければならない。(派遣先から独立して仕事をする)当然のことながら派遣先は労働者に対する仕事上の支持は出せない。指揮命令は業務を請け負っている派遣元から出される。(請負派遣チーム内部)・・・これが一般的な請負業務の形態なのだが、労働者を送り込むという部分に関すれば共通している。偽装請負とはこれら、派遣と請負を組み合わせ、巧みに使い分けたやり方で、実態そのものは労働者派遣なのだが派遣元と派遣先間では業務請負契約が交わされている。それではなぜ、このような偽装請負がはびこるのか、・・・これが問題なのだ・・・・・・・・それにははっきりとした理由がある・・・・・・・
派遣受け入れに伴う責任と義務・・・・・労働者派遣法
まず、派遣先(派遣を受け入れる企業)が自社で他社の労働者を指揮命令して使うには労働者派遣法に基づいて使用者責任や労働安全上の義務を負う派遣契約を結ぶ必要がある。そして、一定期間経過し、更に労働者を使おうとした場合、派遣労働者に対し、直接雇用を申し込む義務が発生する。同時に派遣元においてもそのことを推奨し、進めていかなければならないという責任が発生する。ここで言う一定期間とは派遣受け入れ期間とも平行している。つまり、労働者派遣を利用できる期間も同様に限定されているということになる。(派遣期間と派遣受け入れ期間の制限・・・旧法→一年・・改正法→三年)別の表現をすれば、派遣労働者にとってはここで派遣先企業に直接雇用される機会が生じてくるわけだ。こうなると派遣先にとって人件費の上昇など負担が大きくなる。また、派遣元においても同一企業に継続して派遣ができなくなるというデメリットが生じることとなる。このような状態を避けたい企業は、そのためにこれらの義務や責任を負わずにすむ請負契約で労働者を使おうとする。これが偽装請負なのだ。
・・ほとんどの派遣が偽装請負・・ ! !
それでは派遣労働者が派遣先で仕事をしている場合、それが実際、派遣なのか、請負なのか、又は偽装請負なのか判別できるのだろうか・・? ! ところがこのことを判別するのはさほど難しいことではない。上記のように派遣には期間が設けられている。職場で派遣先から仕事上の指示をうけながら少なくとも三年以上(旧法では一年)派遣労働に従事していたとするならば、それは労働者派遣法違反であり、間違いなくそれは偽装請負ということになる。派遣労働者の皆さん! あなたの場合はどうだろう? 実態はほとんどの場合が偽装請負なのだ! 派遣労働者はこの時点ですでに派遣先での直接雇用の機会を失っているということになるのだが、このことは、労働者派遣法なるものがその効力を失い、完全にザル法に成り下がっているということの証ではないだろうか・・・
犠牲者は派遣労働者 ! 諸悪の根源は偽装請負 !
派遣労働者の場合、ほとんどが有期雇用契約となっている(二ヶ月~一年)のだが、派遣会社は時として、このことも悪用してくる。都合が悪くなると契約期間満了による、いわゆる雇い止め(解雇)を主張してくる。 また、請負契約が終了したとの理由で解雇を主張してくる時もある。完全な請負契約が交わされている場合、このことは厳密にいうと違法ではないかもしれない、しかし、実態が労働者派遣の偽装請負の場合は労働者派遣法は実態派遣に適用される。つまり、実態が派遣なのだから、ここで交わされた請負契約は違法であり無効ということになる。このことは労働者にとってわずかながら救いとなるかもしれない、また、派遣元、派遣先において一定の義務と責任が明記された派遣法を厳格に適用することによりかなりの労働者が救われることになるのではないだろうか・・・・とはいっても、派遣労働者の現状は生易しいものではない。正社員労働者の半分以下の賃金、サービス残業、賃金の不払い、また、労基法などで保証されている年次有給休暇などの権利の行使もままならない。これらのことが当たり前のこととなっているのだ。・・『派遣』・・一見、いかにも現代風の就労形態に見えるこのシステム、しかし、その実態はまさに労働者を軽視し、こき使い、使い捨てにする、前時代的な、まるで一昔前の、あの女工哀史の時代を思い起こさせるような状態だといっても言いすぎではないだろう。今はもう21世紀、いったい何なんだ、これは・・・・・・・
最近、マスコミ各社が(特に朝日新聞は熱心)にわかに偽装請負、非正規労働者の問題を取り上げるようになってきた。また、正社員労働者で組織する各、労働組合も非正規労働者の権利拡大を主張し、それなりに取り組みを始めてきているようだ。しかし、どうだろう、どこまでやれるのだろう?! 大企業を中心に大量にリストラされた労働者はそのほとんどが非正規労働者(派遣、アルバイト、パートタイマー)となり、今や、その数は全労働者の半数近くまで達しているといわれている。声は高らかに上げてはいるが現状はなかなかままならないというのが実情ではないのだろうか・・・・・・「非正規労働者の賃金が低い、上がらない! なぜだろう」、という声を聞いた・・・・・仮に、非正規労働者の賃金が正社員労働者と同程度になったとしよう・・・・・さあーどうなる ? ・・・・・・・ そこで、いきなり困るのは正社員労働者であり正社員労組員じゃぁないの ? ・・・・・・・・どうだろう・・?
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